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2013年6月2日日曜日

「アルゴ」 感想


第85回アカデミー賞作品賞受賞作品の「アルゴ」をようやく消化
とりとめのない感想をば





「アルゴ」は2012年にアメリカ公開されたベン=アフレック監督・主演の映画です
見終わってエンドロールを眺めててビックリしました。監督だったのかよ!
調べてみるとこの人、「アルマゲドン」とか「グッドウィルハンティング」にも出てるし
しかも制作にも関わってるのね…多芸多才とはこのことですよ


あらすじは…
イラン革命真っ最中の1979年。イスラム過激派グループがテヘランのアメリカ大使館を占拠し、52人のアメリカ人外交官が人質に取られた。だが占拠される直前、6人のアメリカ人外交官は大使館から脱出し、カナダ大使公邸に匿われる。CIA工作本部技術部のトニー・メンデス(ベン・アフレック)は6人をイランから救出するため、『アルゴ』という架空のSF映画をでっち上げて6人をそのロケハンのスタッフに身分偽変させるという作戦をたてる。 
(wiki引用)

…というもの。



実際にこんな作戦があったっていうんだから、それを映画にすれば面白くないわけがない
この映画の凄いところは、徹底された「再現」にあると思う

エンディングの主演キャスト紹介時に実際の資料と映画のシーンが並べて映されるんですけど、
キャスト一人ひとりの人相から当時の町の風景、果ては革命軍の記者会見の時に張られたポスターの絵柄まで忠実に再現しているんです

キャストは本当に、良くこれだけ似てる人を集めたなぁと…感嘆の極みです
ベン=アフレックも、トニー=メンデス本人と垂れ気味かつ鋭い目元がそっくり!
奇跡的ですよね…思わず特殊メイクかと疑いましたよ

やはり舞台が完璧だと醸し出される臨場感が違いますよね
予断を許さない状況、差し迫る危機、手に汗握る展開はこの再現度無しでは出なかっただろうな


内容としては、もう完全に面白いです(小並感)

捕まったら確実に拷問されて処刑されるという極限の状態において、
修羅場のど真ん中を変装して乗り切るスリルを、これ以上ないくらい表現してます
作戦立案から脱出の最後の最後の最後の瞬間まで気が抜けないんです

「どうせ助かるんだろ?」なんて斜に構える暇もなく、どんどんのめり込んでました
言うまでもありませんが、娯楽としてかなりレベルの高い作品です


それと、劇場で見た人もDVD or BLU-Rayを購入またはレンタルすることをお勧めします
何故なら、映像特典に見るべき要素がたくさんあるからです

映像特典では、映画の流れに沿って実際に脱出作戦に関わった当事者のコメントが聞けます
作戦立案・実行者のトニー=メンデスから救出された外務官たち、加えてカーター元大統領まで、
「世界丸見え!テレビ特捜部」のVTRみたいな感じで当時のことを語ってくれてるんです

この映像によれば、映画化にあたっていくつかのマイナーチェンジはあったみたいですね
変更とはいっても、事実の方がより感動的だったり衝撃的だったり慎重だったりするんですわこれが
たとえば、最後空港から飛行機に乗るときに革命防衛隊に止められた時、
実際は止められただけでなく、乗る便が故障で3時間停止するというアナウンスが流れたらしい
実際は20~30分で飛んだらしいが、タマヒュンどころの話じゃねーぞwww
まぁすべて真に受けるのもアレだとは思いますけど、当事者の口から出る言葉ってのは重さが違いますよね

個人的にMVPだと思うカナダ大使の
「彼らの脱出後は機材を破壊し大使館を一時閉鎖にした。…当時は8年間も閉鎖するとは思ってなかったよ」
の言葉に笑いを抑えきれなかったww



それにしても、世界史で習ったイラン革命やらソ連のアフガン侵攻やらを背景に
フィクションでもこんな話なかなか作れないぞって出来事が起きてるのを知ると、
現実の持つパワーというかダイナミクスというか、事実は小説より奇なりというか、
想像を絶する現実ってのは起こるんだなぁとつくづく感じます


それと、反政府行動や民主化の起こす混乱ってのも考えちゃいますよね
3年前のチュニジアでのジャスミン革命に端を発したアラブの春を見ても、
急激な体制の変化は、抑圧されていた人々を救う反面、その怒りや憎しみを制御できないままに爆発させてしまうわけで
腐った体制の上で胡坐をかく権力者も、体制変化を無責任にあおる他国や活動家も、
結局は一番の被害者にはならないんですよね
無血革命なんておとぎ話なのかもしれないけど、人権人権叫ぶなら世界一のベストセラー本にも書いてあるみたいにまず隣人を愛してみろよと
そう言いたくなります…深夜のテンションで何かくだらんこと書いてますね俺
ほんと、こんな暢気なこと書いていられるのは世界人口の何割くらいなんでしょうね

深夜のテンションついでに、こういう史実ものの映画に付き物である「認識の差」について
この作品もやっぱりイラン側から「歴史的背景を描ききれてない」って批判はあるみたいですね
来年から、イラン側から在イランアメリカ大使館人質事件を描いた映画「the general staff」の撮影が始まるらしい(ソースはこちら
表現の自由と名誉棄損を履き違えるのは愚の骨頂ですが、特に国際社会ではそのライン引きが難しい
ただ褒め称えられるべき人間、伝えられるべき歴史ってのは確かにあるわけで
トニー=メンデスの勇気はそれに値することだけは断言できます



何はともあれ、「アルゴ」は手放しでお勧めできる映画です。

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