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2017年1月3日火曜日

映画「聲の形」感想



 

あけましておめでとうございます。
正直、年明けのタイミングで久しぶりに更新することになるとは思いませんでした。
誰に向けてというわけでもないですが、本年もよろしくお願いいたします。

本文は、今更視聴した映画「聲の形」に関するものです。ネタバレ注意!!



さて、不肖この私、年末年始の休暇を何とか確保し、実家に帰ってまいりました。
しかし、実家にいると身体が引きこもり時代のことを思い出すのか、
見事に怠惰な年越し&寝正月を決めこんでしまいました。

せめて休みらしいこと、それも自宅に帰ったらできないことをしようと
考えて思いついたことは…あっちじゃ見れない映画を見ること。
そして、公開後結構経っててもう上映館も少ない「聲の形」を見ることにしました。
本当にやってる劇場が少なくて、首都圏では東京で3か所、神奈川で1か所のみ。
今回は時間の都合上、池袋まで足を伸ばしました。
どうでもいいですが、池袋シネマ・ロサって初めて来たんですけど、
何とも言えないレトロ感が気持ちよかったです。ほぼ満席でびっくりした。



本題の「聲の形」についてですが、
私はこの作品に、少年マガジンに掲載された短編の時から心惹かれていました。
「バトル!ギャグ!ほんのりお色気!」で構成される少年誌に載るにはあまりに重く深い話だと思うと同時に、
多感な少年達に向けてこそ価値のある、これを載せたのは英断だと思わせる短編だと、
これを読んだときに感じて、このブログにも感想を書きました。
原作も、単行本で一気に全巻読みました。
だからこそ、2時間の映画でどこまでやるのか、非常に気になってました。
何処を重くするのか、どこを削るのか、それによって物語が軽くなってしまわないか…そう心配していました。



©大今良時・講談社/映画聲の形製作委員会 http://koenokatachi-movie.com/


結果から言って、そんな心配は杞憂でした。
省略と強調のバランスがずば抜けている、最高の映画化だった、と断言します。


まず、ストーリー。

原作にほぼ忠実で、原作最後の映画作りがなくなり、文化祭巡りになっていました。
全体的に言えることとして、繰り返しになりますが省略と強調の仕方がとんでもなく上手い。

素晴らしいのが、前半の小学生時代の描き方。
原作ではほぼ1巻使って、言葉を駆使して描かれていたが、
見事にアニメーションの動きと音楽によって目立った省略なく効率的に、
しかも視聴者に加害者・被害者双方の気持ちを体験させるものになっている。
この「双方の気持ち」というのが重要で、これが描けてるからこそ、「硝子が可哀想」で終わらず、
見る人全員に罪悪感を持たせることができる。

逆に、将也が「取り返しのつかないこと」をして、その代償を母・美也子が払う場面など、
原作では、セリフでは語られずコマの一部に描かれてるだけ、というさりげない描かれ方だったものが、
映画では1シーン・1カットにバシッと映すことによって強調されていたりして、そのバランスが素晴らしかったと思いました。

中盤、成長した将也たちが集い別れる流れも、重要な部分をしっかり残して再構築されていて、
違和感のない、というか見事としか言いようがありません。

終盤の、原作にあった映画作りを排した作りも、GJ!と声を大にして言いたい。
この映画は全編通して「将也の物語」であり、彼が硝子と周りの世界とどう向き合うかを主軸にしている。
これは視聴してても明らかで、私は買わなかったけど、パンフレットにもそんなことが書かれているそうです。
この、『将也をメインテーマにして強調した』ということが本当に素晴らしい点だと思いました。
そのため、割と将也以外のウェイトが大きい「映画作り」よりも、
彼を取巻く人間関係が再生し、世界が広がる演出をメインに置くのは大正解で、本当にまとまりがよくなってる。
もう、マジで凄い。言い表すのに語彙力が足りない。ブラァァァァボォォゥ!



次に、アニメーション表現。

まず、原作の、将也視点で周囲の人間の顔にバツがつく表現を忠実に再現してくれて嬉しかったです。

そしてとにかく、光と色の使い方が凄い。劇中はもう目が喜びっぱなしでした。

京アニの映像美はもはや語るまでもないことですが、
個人的には、「氷菓」における鮮やかながら淡さもある田舎の風景とか、
「甘城ブリリアントパーク」に見られた極彩色の紙吹雪とかが大好きだったんですが、
この「聲の形」でもそれらが感じられて、というかパワーアップしてて、最高に興奮しました。
調べてみたら、上記3作には石田奈央美さんという方が色彩設計として参加されていて、
「氷菓とか甘ブリのあの感じだ!」と思ったのが偶然じゃなかったことにすげーびっくり。
まぁこの方だけでなく、監督・美術監督など他のスタッフの関わりもあるのでしょうが、
単体でクレジットされているということは、相応の権限があるとみて間違いないだろう。
ほんとに好きだわこの彩り…今後この石田氏が出てきたら要チェックだな…!

また、先の話にもつながりますが、この映画の省略と強調は、「光と色の表現」によるところが大きい。
後半の将也がピーポーされるところで、回転するサイレンのドアップみたいなカットで場面転換とか、
画面の美しさに目を奪われて、気づいたら次の場面みたいな事が結構あったと思う。

あと、動きね。この作品で重要な手話のモーションとか、硝子を初めとするキャラたちの動きとか、
こういうところにしっかりこだわりを感じるのが京アニの凄いところ。
こういうのは演出の仕事なのだろうか。だとしたら監督?山田尚子監督の手腕か?
山田氏といえば話題の「響け!ユーフォニアム」の演出もされているらしいっすね。
1期2期両方見てないんだけど、チェックしてみようかなー。



そして、声優の演技。

もう、言いたいことはただ一つですよ。
つまり、早見沙織は神。

彼女の演技をリアルタイムで聞くことができる、この21世紀前半の瞬間を生きられて私は本当に幸せだと思う。
基本的に、早見神の御声は我々アニメオタクの心を掴んで離さない。
だがしかし、どれだけ研究をすれば、あんな演技ができるのか。
確かに彼女以外にも、硝子を演じることはできたのだろう。
だけど、硝子を演じたのが彼女で本当に本当に良かった。それだけは世界の真理である。

…いやね?最近早見様の演技に感動することが多くてですね?
RWBYのルビーとかさ。RWBYについても今度書くけどさ。もう…ね?

あとは、もう主役の入野自由さんとか結弦役の悠木碧さんとか、黒幕・川井役の潘めぐみさんとか、
もう全部完璧だよ!
登場後しばらくY.Aoiさんは気づかなかった。演技の幅広いわー。
それとあれな。小野賢章さん。素晴らしい演技でした。原作より永束のこと好きになったよ。
最高の名脇役でした。



…とまぁ、こんな感じで、私は映画「聲の形」を最高に楽しみました。見に行ってよかった。
もし興味をお持ちの方がいたら、もう上映館少ないけど、観賞をお勧めします。
見に行けないならDVD/BDレンタルでもぜひ。

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