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2013年3月7日木曜日

『聲の形』の可能性

「お晩でーす」って挨拶、使ったことあります?
俺は特に意識もせずに使うし
使われても何の違和感もないのですが
少し前に友人に使ったら「なにそれ?」と聞かれて
いや普通に挨拶だろ、いやいや初めて聞くぞ、と言い合いに
そんなわけで辞書で調べてみると…


お‐ばん【御晩】[感]《「御晩です」「御晩でございます」などの形で》北海道・東北地方などで使われる、夜のあいさつ。こんばんは。 (提供元:「デジタル大辞泉」)

北陸の方言だったんですね
バリバリ標準語だと思ってました
俺は親も含めて生まれも育ちも関東だし、どこで身につけたのやら
そういえば『水曜どうでしょう』で聞いたことある気がする
言われて初めて気付くことって世の中にあふれてるよね
まぁだからどうしたって話なんですが


先週だか先々週だかの『週刊少年マガジン』に載った
大今良時先生の『聲の形』という読みきり漫画が連載になることになったらしい


ストーリーは…
転入生の女の子「雨宮硝子」は聴覚障害者である
ノートを用いた筆談でクラスメイトと仲良くなることを希望するが
彼女の障害故に授業が止まることも多く、徐々に周囲のストレスが溜まっていく
合唱コンクールに落選したことをきっかけに、ついにクラス内でいじめが始まる
石田将也をはじめとするクラスメイトによるいじめがエスカレートする中、
硝子の母親の通報によって校長と担任教師が同席する学級会が開かれる
いじめの中心人物であった将也にすべての罪が着せられ、以降いじめの主な標的に
ある日、将也は自分の上履きを隠した犯人を暴き出すために朝早く学校へ登校
そこで花を手にした硝子と遭遇し、彼女が落書きされた机を拭いているのを目にする
そして硝子が転校した後、将也は彼女にまつわる真実を知ることになる
…というもの


俺、この漫画をたまたま立ち読みしたんですよ
週刊少年誌にしてはリアルな漫画だし、気になってたんですけど
やっぱり話題になってたみたいですね

wikiによれば、『聲の形』は2008年に大今先生が週刊少年マガジンで新人賞を獲った作品らしい
しかし、当時は内容の際どさから本誌に掲載されず「幻の作品」となった
その後、大今先生の別作品がヒットすると週マガの班長が法務部と弁護士、全日本ろうあ連盟と協議を重ねて
2011年の別冊少年マガジンに掲載、読者アンケートで1位獲得
そして今回(2013年)、大今先生のセルフリメイクが掲載されたという経緯だそうです

読者層が広範にわたり、多くの少年の眼に触れる少年誌において
確実に物議を醸すこの作品を掲載・連載することはかなり重い決断を要したでしょう
しかし、俺は声を大にしてマガジンGJ!!」と言いたい


今、学校における「いじめ」が「体罰」と並んで注目された社会問題になってますね
また、「障害者」への差別は年少者の間ほど顕在化しやすい
それは何故か?
「物事の善悪」「加減のつけかた」「いじめの悲惨さ」をちゃんと理解していないからだと思います
他人との接し方におけるタブー、「いじり」の加減、人を傷つけるとどうなるか
これらは他人の立場に立ったりして徐々に知っていくことですが、
こと年少期においては、物事を主観的にしか考えられない場合が多い
だから、先生や親(大人)に言われてもなかなか理解できないし、実行しようと思わない
物わかりがよく見えても盲目的に言いつけを守ってるだけってことも多いんじゃなかろうか

そんな時期に、主観的に(実感を伴って)いじめの悲惨さや人間の機微を知るために
「少年誌に載ってる漫画」ってすげー効果的だと思うんですよね
大人に言われるよりは能動的に見るし、気軽に読めるし、感情移入もしやすいし
より主観に訴える効果があるんじゃねぇかな
確かに、逆にいじめを増長させる危険性もあるかも知れんが
その漫画が「惨さ」をリアルに表現できてれば抑止力も強くなるだろう
俺は、大今先生の『聲の形』はその力を持った漫画だと考えます

戦争の悲惨さを伝える『ちいちゃんの影送り』とか『はだしのゲン』と同様に
情操教育に用いることのできる名作になりえるし、もっと有名になってほしい
そういや『どんぐりの家』って漫画あったよね…あれもろう者をテーマにした名作だ

人に言われて初めて気付くことは数多くあるが
客観視できない時期には主観に働きかけることも必要なんじゃねーの?
少年誌の漫画って絶好の材料なんじゃねーの?という愚考でした

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